口腔内カメラに関して
歯科治療は狭い口の中で行われるため、説明が非常に難しく、少し前までは手鏡で見てもらって、治療した事を口頭で説明するのが主流でした。しかし、手鏡を見せられて「こうこう、こういう治療をしました。」と、言われても前歯以外は、そもそも見えないので「わかりました。」といいながら実際には患者さんは何をされたのか理解していない事が多かったと思います。
私たちは何かを購買するとき、何を買ったか当然ですがわかるはずです。バックを買えば、バックが手に入るし、食事を注文すれば、食事が出てくる。しかし、歯科の場合は歯科治療を買ったのに、買ったものが見えない。経済的な視点から考えると、ありえない事だと思います。
当院では、義歯の治療など必要ない場合を除き、治療の際には、患者さん全員の術中の歯の状態をその都度口腔内カメラで撮って、写真を前方のモニターに映しながら説明しています。患者さんに買ってもらうのは、歯の治療ですが、それを「可視化」して「説明・納得」が得られるようにすることが、私たちにとっては重要な事なのです。
症例1
一番奥の歯なので、口腔内カメラがないと治療したところがわかりません。
写真で取れれば、どんな風に虫歯を取って、どのように白い詰め物を詰めたか一目りょう然です。
症例2
例えばこの症例も。奥から二番目の歯の虫歯の治療ですが、虫歯を取った所、詰め物をした所、一目りょう然です。
症例3
お子さんの場合も同様に。保護者の方にもしっかりとした説明が出来ます。
症例4
これは、両脇に虫歯が広がってしまっていた症例です。虫歯の部分を完全に取って、CRという樹脂を、詰めています。詰め物をしているのがわからない出来ばえなのが、口腔内カメラでしっかり確認できます。
症例5
虫歯の場所を削除した後、詰め物をした流れを、患者さまに見ていただいて、治療で何をしたのかしっかり理解していただきます。ちなみに一つ後の歯のプラスチック部分は上部が摩耗しているのでやり直しをしました。こんなにはっきり見えてしまうと、患者さんにとっても治療をしたくなります。
症例6
前歯の内側は意外に鏡などでは見えにくいですが、写真があれば、古い詰め物を取って、新たに詰めなおしたことがすぐわかります。
症例7
これも奥歯なので、鏡では見えませんが、1枚目の写真では歯の根が3つあって、そこにお薬が充填されている事、2枚目は奥側が虫歯なので、それを除去した所、3枚目はレジンコアで歯の補強をした所です。ここからかぶせを作っていきます。
症例8
「親知らずが斜めに生えていて、虫歯になっています。早く抜歯をした方がいいです。」
鏡で口の中を見せられても、正直見えず、言われていることの理解が出来ません。
では、この写真を見せられながらではどうでしょうか?
すぐに、親知らずの状態がわかりますよね。患者さんも「抜いといた方がいいですよね・・・」と納得していただける事も多いです。
症例9
これは歯の一部にクラックが入った症例です。歯が割れているのが見てすぐわかります。
破折部分とアマルガム(古い水銀の詰め物)は除去して、白い詰め物で詰めています。
症例10
これも歯が破折しています(奥の部分)。これは痛みの原因が最初は分かりにくかったのですが、写真で破折を確認してもらってからは、痛みの原因を理解してもらい、予後が悪いことは納得の上、根の治療を開始ししました。
症例11
削合してみると非常に大きな虫歯だったので、神経を保護するお薬を塗って、いったんCRで仮封しました。これも写真があれば、虫歯の大きさなど一目瞭然です。もし、痛みが出たら神経を取らないといけないという話にも納得していただけました。
症例12
虫歯になっていたので、銀歯を外したら、中も虫歯でしたが、右となりの歯も穴が開いて虫歯になっていました。虫歯を取って共に樹脂を詰めて、後ろの方の歯は銀歯の型どりをしました。これも、どこがどうなっていたかという、説明をするうえでは非常に大切です。
症例13
奥歯の、裂溝(溝)が深く、将来虫歯に可能性が高いので、シーラント(フッ素入りの樹脂)を詰めました。これも、一番奥の歯の為、口腔内カメラがないと見えない部分です。
以上口腔内カメラを使っていくつかの症例を上げさせていただきました。当院でも、手鏡や大きなカメラを使用することもありますが、今の口腔内カメラは画素数もけっこういいので、患者さんへの説明にはかなり役に立っています。
自分でやった治療をかなり大画面に映すので、ごまかしなく、きちんとした治療を見せていかないといけないプレッシャーにもなります。今後も十分納得できる説明が行えるよう口腔内カメラを使っていきますので、よろしくお願い致します。